ユーラシアンオペラへの道  河崎純
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  • 「ユーラシアの歌」草稿(~2022)

文章アーカイブス

作曲家・コントラバス奏者 河崎純 


 このサイトは、2022年に出版された「ユーラシアの歌 原郷と異郷の旅」(ぶなのもり/2022)の原文となった草稿と、出版以降の文章から構成されます。

 

【「ユーラシアの歌」草稿(〜2022)】

原文にたいし、WEB閲覧用の改行変更、誤表記の訂正等を行いました。代表をつとめる音楽詩劇研究所のユーラシアンオペラ初期二作品の創作手記、それに関する音楽文化の考察と歴史的背景等の紹介が主たる内容ですが、書籍未収録の当該地域以外での手記や随想も含みます。

 

【New Text(2022~)】

書籍出版の以降も、継続して創作された2作のユーラシアンオペラおよび、クルド文化との交流、日本の民衆音楽史、済州島や琉球諸島でのフィールドワークなど、新たな文章を随時加えてゆきます。

 

書籍はドキュメント映像や音源などのQRコード、64ページの索引用語集、年表付き、写真多数で、よりお楽しみいただけます。

 

B5判並製384頁+索引64頁 定価3,600円+税 ISBN978-4-907873-12-7
B5判並製384頁+索引64頁 定価3,600円+税 ISBN978-4-907873-12-7

 

過去にも未来も超越したこの眼差しこそが100年後に"アート"と呼ばれる視線なのだ

(FUNI ラッパー/「週刊 金曜日」書評欄)

この一書がそのままユーラシア文芸手引書なのだ

(Onnyk 音楽家批評家/ Jazz Tokyo)

生まれてくる新しい祭りや遊びが、この世を生きていく力を与えてくれる 

(加藤種男 クリエイティブ・ディレクター)

 

 

書籍の購入、詳細はこちら

 

 


 河崎純(音楽詩劇研究所主宰・作曲家・コントラバス奏者)

 

音楽詩劇研究所代表。1975年生まれ。早稲田大学第一文学部仏文学科卒業。在学中から音楽活動をはじめ、作曲家、演出家、コントラバス奏者として活動。身体性、演劇性を伴う演奏で知られる。ダンス・演劇・音楽劇、朗読など、120作ほどの舞台作品の音楽監督、作曲を手掛けた。ポリフォニーと即興性を共存させる作曲手法を用い、日本語の音韻を重視した歌唱を中心とする、音楽劇の作曲を専門とする。

 

海外でのプロジェクトも多く、特に2010年代よりトルコ、ロシア、 ドイツでの様々なプロジェクトに主要メンバーとして参加。

 

 アジアとヨーロッパの境界線上からアジアを再考することで、新たな視座を得て、2015年に音楽詩劇研究所を設立。各地のフォークロア、少数民族文化、ディアスポラに着目し、2024年までに、多言語が響き合う4作のユーラシアンオペラプロジェクトを制作、作、演出、作曲。

 

2022年にはそれらの活動をまとめた、著書『ユーラシアの歌-原郷と異郷-』(ぶなのもり)、韓国、ロシアの歌手を擁する二作のCD『HOMELANDS』『STRANGELANDS』(BishopRecords)を発表。 

 

2024年には代表作の一つ『捨て子たち星たち2023』(演奏:みのりて)が〈現音 Music of Our Time 2023〉日本現代音楽協会)が演奏され、NHKラジオ「現代の音楽」で放送。作・演出のユーラシアンオペラop.4『黒潮の子』が、2024年度国際交流基金国際共同制作事業に採択され、日韓台の演奏家、パフォーマーにより上演された。

 

河崎純ホームページ

構成・各章【トピック・キーワード】


New Text (2022~)

▪️極私的日本歌謡史-樋口一葉 2025

 

日本の近世と近代の境目に遡った歌の記憶と音楽文化について。2025年12月に上演したドナルカパッカーン音楽劇「頭痛肩こり樋口一葉」(井上ひさし作、川口典成演出)の作曲創作メモ。

 

【井上ひさし 「頭痛肩こり樋口一葉」 歌舞伎町 ホストクラブSmappaGroupe 宇野誠一郎 国民国家 父の幻聴 明治の記憶 丹波民謡「デカンショ節」 広沢虎造 「といちんさ」(富山民謡) 米騒動 学校唱歌 「無尽講」 「頼母子講(たのもしこう)」 「宮さん宮さん」「ラバウル小唄」 軍歌 ベルトルト・ブレヒト 盆歌 わらべ唄  「一かけ 二かけて」 吉原遊郭 西郷隆盛 遊郭の遊び歌 国民皆兵 放歌罪 「オッペケ節」 自由民権運動 川上音二郎 「君が代」「お雇い外国人」「蛍の光」 スコットランド民謡 「お月様」(わらべうた) 蛍狩りの歌 バーニラ バニラ高収入 EDM 「風」夢のない歌 国民学校令 教科書「ウタノホン」フリードリヒ・エッケルト 日本人の声の最古の録音 日本初の軍歌】

 

 ■ユーラシアンオペラOp.4 「黒潮の子」2024

 

 漂流による知られざる交流に着目し、人々が共に生きる意味を 問う。台湾原住民、与那国、済州の音楽的文化や消滅危機にある島々の言語が響き合う、音楽詩劇研究所のユーラシアンオペラ 第四作目『黒潮の子』(国際交流基金 2024年度舞台芸術国際共同制作事業)について。

 

【金石範 海女 済州島四・三事件 ヨンドンクッ イヨド(離於島)済州島民謡 金時鐘 南道民謡 モンゴル 馬 シャーマニズム 与那国 御嶽 東御廻り(あがりうまい) 岡谷公二 どぅなん 台湾 サンアイ-イソバ 与那国民謡 与那国語 西表島 まるま盆山節 来訪神「オホホ」石垣島 八重山民謡 とぅばらま 安里勇 黒糖地獄 朝鮮人慰霊塔 クルド民謡 台湾原住民族 クレオール歌謡(林班歌)オーストロネシア 首狩 ブヌン バッハ 陳黎 金門島 プユマ族 バリワクス(陸森宝)尹東柱 みらぬうた(与那国民謡 葬礼、労働歌)朝鮮実録 どぅんた ボートピープル 済州島開闢神話 「金福寿伝」 オドルトギ  安南 「六字唄」投壜通信 国連人権理事会 クルド民謡 群島】

 

 ■ユーラシアンオペラOp.3 狂ったように目覚めて 2022

 

海外から日本への移民者、移住者との交流を踏まえた共生空間をめざした。音楽詩劇研究所のユーラシアンオペラ 第三作目『A Night The Sky was Full of Crazy Stars』について。

【「春香伝」 宮沢賢治 「ポラーノの広場」「スターリン・エピグラム」 済州島  在日クルド人 川口 蕨 マンデリシュターム クルド伝承叙事詩 台湾原住民(アミ族、プユマ族)民謡 ル・クレジオ 時調 正歌 吉屋チルー  黃眞伊 尹東柱  バフチャール・アリ アイヌ伝承子守唄 「アルメニア 詩篇」南ロシア マリーナ・ツヴェターエワ】

 

 ■蕨で出会ったクルドの歌

 

 幼少から暮らす街で出会った移民の人々のとの音楽交流、。宮沢賢治の「春と修羅」鹿踊りのはじまり」をベースに創作したしたセルダル・ジャーナンとのコラボレーションについて。

 

【在日クルド人 難民申請 ネウロズ 旋回舞踊 ムスリムとクリスチャンのの悲恋 アレウィ派 クルド人の名前  叙事詩デングベジュ トルコの盲目の吟遊詩人アシュク・ベイゼル クルド語 「アルプスの少女ハイジ」ハッキャリ クルド歌謡の帝王ホザン・カワ キーは全部A 微分音程 まれびと 「クルドの娘」メソポタミアの山の声「鹿踊りのはじまり」「春と修羅」なぜ戦の歌を歌うのか 「原体剣舞連」 「悪路王」 蝦夷 アイヌ 北方文化圏 菅江真澄 ロシアからもたらされた「盆歌」 青ヶ島 岩手の民謡「そんでこ節」 「国家を持たぬ最大の民族」大島渚 谷川雁 「人体交響劇」鹿踊り ナショナリズム 排外主義】

 

 ▪️HOMELANDS/STRANGELANDS2022

 

2016から開始した音楽詩劇研究所ユーラシアンオペラ プロジェクトの二作目『さんしょうだゆう』(2019)をふまえた、韓国「正歌」のジー・ミナ、ロシアのマリーヤ・コールニヴァをヴォーカルに据えたCD の詳細な楽曲紹介。

 

【韓国伝統音楽「正歌」バイカル湖 ロシア正教古儀式派 子守唄 北朝鮮の歌謡 済州島の舟歌. 「山椒大夫」 パンソリ「沈清歌」高麗人(コリョサラム) コリアン・ディアスポラ 「お岩木様一代記」「てぃんさぐぬの花」 チョー・ヨンピル 葬列歌(サンヨソリ)ロシア前衛JAZZの 在樺コリアンのロシア語詩 オノマトペ 「天然の美(美しき天然)」日本初の三拍子曲 アイヌ民謡「60のゆりかご」 謡曲「高砂」カザフスタンの古楽器 江原道伝承子守唄 伝説の湖底都市(キーテジ) バラキレフ 中村喜和「おろしや盆踊唄考」「日本国への旅案内」(ユートピア伝説 白水境) 「山椒大夫」 弦楽四重奏 韓国の東海の人魚伝説 ウズベキスタンのコリアン詩人 日本人スパイ 分散奏法(ホケトゥス)ギョーム・ド・マショー チェチェン人 イスラム朗詠儀式「ズィクル」「銀の時代」の女性詩人 アンナ・アフマートワ イスタンブール エセーニン】


「ユーラシアの歌」草稿(~2022)

はじめに「囁きはじめるユーラシアの風と歌」

 

【イスタンブール国際空港 キリル文字 在日コリアン ラフカディオ・ハーン エセーニン 言葉なんておぼえるんじゃなかった(田村隆一)山梨の農村 祖母の「おまじない」 シャーマンと墓参したシベリアの日本人抑留者墓地 無神論社会の死生観 民謡(volkslied) 地理型/歴史型 言語と歌 方言 移民街にて 異邦人の耳 明治の音 ワールドミュージックブーム ラテンアメリカ 豊かな音楽/貧しい音楽 旧社会主義国 岡本太郎 夢の痕跡】

 

第一部 ユーラシアンオペラ=神なき時代の神謡集

ロシア、ウクライナ、トルコの歌手らとのコラボレーションによる音楽劇、音楽詩劇研究所のユーラシアンオペラ第一作目「Continental Isolation」(2018)に至る創作手記、文化考察、および、さらなる展開を求めたタタールスタンやロシアへの旅。

 

1-1   死者のオペラ「終わりはいつも終わらないうちに終わっていく」

【タデウシュ・カントール ブレヒトの「教育劇」 パウル・ツェラン 遅子建 シャーマニズム 中露国境域の少数民族 エヴェンキ族 シャーマニズムの音楽文化 金時鐘 小野十三郎 心中天網島 近松門左衛門 無文字社会 死者のアリア】

 

1-2  アルメニア・モスクワ音楽創作記 2016 エレヴァン篇 モスクワ篇

【コーヒー占い ドローン(持続音) コミタス 世界で一番哀しい音色 アルメニア正教 バルトーク マンデリシュターム アララト アルメニア中世の聖歌 社会主義 アルメニア文字 「ざくろの色」 パラジャーノフ サヤト=ノヴァ(吟遊詩人) つげ義春 ロシアアヴァンギャルドJAZZ ウクライナ民謡 古謡のない日本 「架空の民族」】

 

1-3 シベリア・トルコ・ウクライナ音楽創作記 2017 バイカル篇 黒海篇

【ブリヤート  イルクーツク 囚人の歌 ブリヤート民謡 ネオシャーマニズム バイカル湖 「どん底」 収容所群島 ヴィソツキー ロシア正教古儀式派(セメイスキー) 17世紀の典礼改革 セメイスキーの合唱 ユートピア伝説「オポーニア(日本)への旅案内」ウラン-ウデ 「遊牧民の声」 チベット密教 テュルク族 バレェダンサー ラーゲリ(収容所) アテネ テオドラキス 黒海 トルコ大衆歌謡 ドイツのトルコ移民の音楽 伝統楽器と歌謡曲 ボスポラス海峡 ムスタファ・ケマル イスタンブールのロマ カザフ族 イスタンブールと釜山 韓国のシャーマニズム音楽文化 脳震盪によるトランス 舞踏 オデーサ 港町の音楽文化 JAZZ発祥の街 戦争がなかったら 世界初の戦闘機女性飛行士 アルメニア大虐殺 パスポートと入管 クルド ロシアのユダヤ人 ユダヤ国際空軍】

 

1-4  シベリアに訊く 2017

【イルクーツク験音楽祭 トゥバ共和国 サインホ・ナムチラク 喉歌 日本人女性のシベリア暮らし ロシア人の平均寿命 社会主義の名残 エイジアン・フリー・フォーク チンギス・ハーンの肖像画 日本人墓地 十字架のない墓 唯物論的死生観 浸水した村の鐘 父と娘】

 

1-5  「Continental Isolation」2018東京 /(コラム)ウクライナ老婆の泣き歌

【 文字・女性・即興 知里幸恵  信仰と音楽 架空の民族 まれびと 歌と即興 ウクライナ古謡 「われわれの土地」/「失われた土地」   一神教と歌舞 山下りん イコン 中央アジアのシャーマニズム 子守唄 ディアスポラ 銀の時代 アフマートヴァ 伝説の湖上都市(キーテジ) シャーマンとヒステリー 降霊 架空の民族の「神謡集」嗚咽する老婆 ウクライナ スラブの泣き歌 巡礼者の歌 古事記の女神(ナキサワメ)】

 

1-6  岩手山に祈りつづける「シャーマン」

【英米実験音楽 コーネリアス・カーデュー 図形楽譜 五体投地 おしら信仰 覆面 疑惑の布 トゥバ民謡 I am a shaman of my life】 

 

1-7  タタールスタン・ロシア「草原の道」音楽創作記 2019   タタールスタン篇 ロシア篇/ (コラム)ユーラシアの天空崇拝テングリについて

【草原の道 タタールスタン共和国 カザン 東西文化の要衝 失われた7つの文字 母語 ゲンナジイ・アイギ グバイドゥリーナ 未来派詩人フレーブニコフ サイケデリックミュージック チュヴァシ族 多民族国家ロシア 「シャマンとヴィーナス」創造言語ザウミ ヴォルガのマラルメ ヴォルガ川 スヴィヤズスク 「歌へのお辞儀」 カザンのモスク 与謝蕪村 東日本大震災 国後島 ツェラン タタールとアイヌ民謡 孤高の奇才カラヴァイチュク シベリアの歌姫とペレストロイカ ウクライナ古謡 世界の即興音楽 禅とコルトレーン カザフスタン大統領の辞任 インプロセッショッン 大斎 マースレニッツァ どんど焼き 森のアートレジデンスのユートピズム 小さな博物館 「タタールのくびき」 布教 ロシアの霊性 放浪預言者ユロージヴィ ヤクザ者の歌 夢の歌 テングリ信仰の宇宙観と音楽】

 

第二部 うたものがたり「フォークソング」考

 

なぜ人は歌い奏でるのか。「日本春歌考」や「楢山節考」をたよりに、「民謡」や「伝統芸能」として残らなかった日本の民衆の歌謡文化にそれを求める。時代を遡ったりたり戻ったりしていると、なぜか韓国の伝統芸能やアイヌや琉球文化へと繋がった。ありえなかった日本の歌の道を求め、そこからあらたなユーラシアンオペラの構想する。第2章では、いわゆる音楽史とはことなる観点から、さらにそれを考察する。

 

2-1  うたものがたり口承芸能、民謡をめぐって

【ウタ(歌謡)は集団的モノローグの一形態(寺山修司)  独り歌  歌の起源 近世と近代のはざま 深沢七郎 「楢山節考」夢と歌 大島渚「日本春歌考」 うたものがたり 添田知道 ヨサホイ節 春歌 軍歌 日本人騎馬民族説 クルト・ヴァイル ハンス・アイスラー ブレヒト 林光 黒テント グールド レニー・トリスターノ クールジャズ 古楽復興 テクノとアンビエント 友川カズキ 三上寛 高田渡 日韓比較伝統音楽 男寺党(ナムサダン) (日韓)賎民階級と芸能 パンソリ 「春香伝」「安里屋ゆんた」 くやま 琉歌 吉屋チルー 囃子詞 韓国のロミオとジュリエット 在日コリアン 「和人のユーカラ」 サハリンのアリラン オタスの杜 ジャッカ・ドフニ 中島敦 「古譚」 ル・クレジオ ジュリアン・ジェインズ バイキャメラルマインド(二分心)】

 

2-2 日本 ・アイヌ・琉球篇「しまぐにの声、その故郷を求め」 <コラム>日本の歌の原像を想像するための4冊の参考書・西洋人が聴いた「明治の音」

 【永池健二「逸脱の歌声 声の精神史」 土橋寛「古代歌謡をひらく」 内藤高「明治の音」兵藤裕己「演じられた近代「国民」の身体とパフォーマンス」 西洋人が日本に訊いた「明治の音」 西洋人が日本に訊いた「明治の音」ニューオリンズ クレオール イザベラ・バード エドワード・モース 演歌と民謡 郷愁 寅さんと朝鮮 しまぐに 水木しげるのオノマトペ 韓国のオノマトペ 折口信夫 小泉文夫の民謡分類 オルティンドー 遠吠え 盆踊り禁止令 瞽女 暗闇 ヰタ・セクスアリス ルソン・ド・テネブレ(暗闇のレッスン)盲目 乱交の民俗学 柿の木問答 黙祷 スローミュージック むかしの雅楽 BPM  タイの仏教ポップス 「ものみな歌で終わる」  出雲の阿国 男だらけの音楽  耳と耳の間に アイヌの音楽文化 トンコリ 知里幸恵 ニライカナイと捕陀落渡海 中上健次 宇津保(うつほ) 道成寺 秘伝の琴とペルシャ 怜楽 奄美人差別 里国隆 讃美歌 島尾敏雄】 

 

第三部 安寿と厨子王、カザフスタン・韓国へ

 

ユーラシアンオペラ第二作目「さんしょうだゆう」(2019)のアルマティ、ソウルでの創作準備と、上演ドキュメンタリー、その後の「コロナ禍」における展開について。森鴎外の小説でも知られる「安寿と厨子王」。中世より説経節で語られ、愛されてきた物語をカザフスタンやロシア、韓国のアーチストとともに、現代の「歌物語」として織り上げた。

 

3-1 カザフスタンへの道 「さんしょうだゆう」と「デデコルクト」2019

【安寿と厨子王 説経節 「さんしょうだゆう」高麗人(コリョサラム) スターリンの強制移住政策 イタコ 英雄叙事詩「デデコルクト」 瞑想的な音のコブス(カザフスタンの弦楽器)テュルク族 セミパラチンスク核実験場】

 

3-2  「さんしょうだゆう」カザフスタン創作日誌 2019

【アルマティ 高麗人の唄 姜信子 アリラン ソ連邦と高麗人 高麗人のキムチ ナウルズ(春祭り) 奇跡の詩 ダウン症パフォーマー 弦楽四重奏 弦楽器の身体 ロシア語ラップ 遊牧以前 伝説のサイケロック詩人 失語 石原吉郎 シベリア抑留体験 高麗人劇場 エスペラント 忌野清志郎 イマジン 戦争 ソヴィエトロックの英雄ヴィクトル・ツォイ 国民芸術家アバイ アラシュ・オルダ(カザフ近代化運動)】

 

3-3  韓国への道 さんしょうだゆう〜沈清歌

【在日 韓国プロ野球黎明期  平板な朗読/激情 パンソリ 「沈清歌」 森鴎外 高麗と李朝 芸能の多様性 打楽器文化 ディアスポラと芸術 韓国籍朝鮮籍 解放後の混乱 キーセン 4行を15分かけて歌う正歌 韓国の近代】

 

<コラム>上演ドキュメント 「さんしょうだゆうin 韓国」(2019)

【チャガン湖(核実験によるカザフスタンの人造湖) 極東ロシアや中央アジアの高麗人 「竹田の子守唄」と「バイカル湖のほとり」複合拍子 疾走する弦楽器ドンブラ イスラム神秘主義スーフィズムの儀式 チェチェン 高麗人詩人のロシア語詩 安寿恋しやほうやほれ ユーラシアンシナウィ 済州島に死す厨子王 生と死のあわいを越え 父の歌 上野コリアンタウン 「沈黙の歌」】

 

3-4  さんしょうだゆう その後2020,21

【不忍池の傷痍軍人 師匠の死と韓国音楽 エセーニン 友川カズキ 「コロナ禍」のCD制作 原郷と異郷の旅 「君が代」】

 

第四部 埼玉発のユーラシアンオペラ/(コラム)<台湾、中国篇>わたしの「わが西遊記」

 

「コロナ禍」で創作は困難になり、ユーラシアンオペラ創作の本拠地ともいえるロシアとウクライナ間の戦争も始まり、戦渦に赴く大切な共演者もいた。アジアの多言語が交響する私が暮らす街では、その人々を排除しようとする動きも活発だ。この地から新たなユーラシアンオペラを生む意義を感じ、中国人が多く暮らす団地に通い、クルド人との音楽交流をはじめた。コラムでは、本書以降の、音楽詩劇研究所の作品に参加してくれることになる、台湾原住民族タイヤルにルーツを持つ歌手との出会い、わたしの中国、台湾文化との細いつながりを随想。

【ロラン・バルト 巨大団地 アジアの風 エンデとブレヒト ヘイトスピーチ モモと円形劇場 ワラビスタン 在日クルド人 仮放免 『あるデルスィムの物語―クルド文学短編集』 クルド文化デングベジュ クルドの歌姫アイヌール トルコ語とクルド語 バルトーク 「雨に消えたあなた」(ベトナム歌謡) 蕨で集めたアジアの歌の記憶 河鍋暁斎 ロシア-ウクライナ戦争 クルド人歌手との出会い 西遊記 中島敦 台湾原住民族音楽文化 タイヤル族】

 

(コラム)「これは音楽なのだろうか......」トルコの振付家とのイスタンブール・ベルリンの日々

 

タイトル通り、私は振付家に音楽を奪われた演奏家でした。それを国際フェスでたった一人でパフォーマンスするのには大きな葛藤があった。しかし気がつくとそれは、当たり前と考えていた物事の枠組みを外してゆく試み。そんな彼女とドイツの中央アジアの叙事詩が主題の現代音楽劇(2014,5)で再会した。

【「db-II-bass-音、身体、楽器」 トルコのピナ・バウシュ 音楽を奪われた音楽家 骨の振り付け家 動物園 沈黙の中の無数の音楽 マーク・シナン 「デデコルクト」 ドイツのトルコ移民 中央アジア、コーカサスの伝統楽器 音楽と政治 アゼルバイジャンからのメッセージ ナゴルノ・カラバフ】

 

第五部 日本舞踊家西川千麗の夢想、あるいは教え

 

書籍「ユーラシアの歌 原郷と異郷の旅」(ぶなのもり)では最終章にあたる本章では、2012年に亡くなった日本舞踊家との創作を回想。

【ジュネーブ ジャン・ジャック・ルソー 日本舞踊 トルコの振り付家 「孤独な散歩者の夢想」カミーユ・クローデル アールブリュット ジャン・デュビュッフェ】 

 

(コラム)ユーラシアンオペラを彩る海外アーチストたち オーラルヒストリー

音楽詩劇研究所のユーラシアンオペラプロジェクトでともに作品をつく4名のユーラシアのアーチストのインタビューにもとづくファミリー ヒストリー。

 

第六部 「旧社会主義圏のサウンドスケープ」

ポーランド篇 ハンガリー篇 リトアニア篇

 

東欧、中欧での、多くはインターネットがこれほど身近ではなかった頃の楽旅手記。これまで述べた自主的な創作旅とは違い、何も知らぬままその地で感受し、帰ってから文化だの歴史だのを知り、再訪の機会があれば、そのときに確かめる。

【クラコフ 川上音二郎一座 花子 クシシュトフ・コメダ ポーランド前衛芸術 エヴァ・デマルチク タデウシュ・カントール ブルーノ・シュルツ 人形 ゴンブロビッチ 「パプーシャの黒い瞳」 「最後の日曜日」 ユダヤ ブダペスト  口琴 びやぼん マジャロック ロマのためのロマ音楽 想像の民俗音楽 バルトーク コダーイ リゲティ 国民楽派  「フォークソングス」(ルチアーノ・ベリオ)  イヴァ・ビトヴァ  野生へと還す ヴィリニュスJAZZフェスティヴァル バルト ギドン・クレメール 「疲れた太陽」 バルトの原始宗教 ジョナス・メカス ヨーロッパ最後の中世 ソッツ・アート(コンセプチュアリズム) 星と調和の女声合唱(スタルティネス)独立運動と合唱 ポリフォニー ミハイル・バフチン】

 

第七部 西欧篇「戦争の世紀から生まれた音楽」

 

西欧文化との創作上の関わりを追憶、考察した随想。1990年代は、知だの教養だの現場においてはまだ、ヨーロッパの先導を追う気風があり、大学の仏文学科に入った。ヨーロッパ列強の植民地主義から展開された世界戦争への抵抗や反省が20世紀の現代芸術だったといえる。太平洋を隔てた「隣国」アメリカとの関係は地政学的にも逃れ得ぬようだが、大陸の遠くヨーロッパとの関係はどうなってゆくのか。

【ポルトガルの闘牛 ドゥエンデと恨(ハン) 半島 ギター フラメンコ ガルシア・ロルカ バルバラ 「ゲッチンゲン」ドイツ語版 ドイツ弓 とフランス弓 天下茶屋 昭和最後の日 喪の音楽 ロバート・ワイアット 西ドイツのジャニス・ジョプリン ブレヒトソング 教材(教育)劇 「叙情詩にむかない時代」 亡命と赤狩り W・G・ゼー バルト パウル・ツェラン 「主よ、祈りなさい」 バタイユ 低い唯物論 宗教音楽の脱構築 バスク語 キルメン・ウリベ バスクの打楽器(チャラパルタ】

 

第八部 ロシア篇「明るいロシア民謡~歌はどうして「暗く」なったのか~」

 

タイガと雪原、旧社会主義、革命、シベリア、晦渋な文学、キリル文字、、、ヨーロッパともアジアともちがう、終わりのない大地の霊性を感じながら、隣の大国から別の世界をしる。ほとんど言葉もできないのに、ロシアのアーチストとは最も多くのコラボレーションをした。本ページで述べたユーラシアンオペラ創作以前の2004年、2010年の創作滞在手記と、ロシア民謡から考察した、歌とは何かについて。

【アルハンゲリスク スコモローヒ(大道芸人、吟遊詩人) 晩秋のシベリヤ鉄道 演劇的前衛音楽の伝統 鳴海英吉 ゲンナジイ・アイギ 高麗人(コリョサラム) ウラジーミル・ヴィソツキー モスクワオリンピック ブラート・オクジャワ 青いトロリーバス テロ ドラマ芸術学院 ショスタコビッチ 「ユダヤ組曲」 ウクライナでの大量虐殺(ポグロム) スターリンに屠られた3人の歌手 長調と短調 ペテルブルグ駅のチャイム 暗い音楽 ロシア民謡 中世ロシア民衆音楽 バラライカの広まり チャストゥーシカ 兵役で広まる音楽文化  奏でる音楽/聴く音楽 「美しい未来」 タスカー】 

 

第九部 中央アジアのノマドを演じる/ベルリン「デデコルクト」創作日記2013,14 /(コラム)現代音楽を演奏する

 

のちのユーラシアンオペラ創作の契機となった、ドイツの現代音楽プロジェクトでの創作過程における体験記。中央アジア伝統音楽との出会いや、ベルリンや上演地での日々。

【現代音楽 「デデコルクトの書」ベルリンのトルコ人街 一つ目の怪物 クリスマスキャロル 東ベルリン ベルリン実験音楽シーン ツェランと歌   指揮者 「中央アジアのニーベルングの指輪」悪魔払いのおまじない 政治と音楽 アゼルバイジャン・カザフスタン・ウズベキスタンの伝統音楽家 リヒテンシュタイン公国 ヴォルガ・ドイツ人 タタール ヨーゼフ・ボイスのユーラシア 演劇「魔の山」ナショナリズム 1980年代後半のセルビア クセナキス ユン・イサン(尹伊桑) 岩城宏之 ジャチント・シェルシ 「沈清歌」】




一般社団法人 音楽詩劇研究所

 

2015年に、東京の劇場シアターχ(カイ)で、河崎純を講師とする同劇場の研究所(ゼミ)の一つとして発足。埋もれた音楽資源の水脈を求めながら、新たな詩劇の創成を試みる。ユダヤ人詩人パウル・ツェラン、ベルトルト・ブレヒトの詩を歌に再現して構成する詩劇『捨て子たち星たち』に続き、中国の女性作家、遅子建による中露国境の少数民族の生活史を描く小説に着想を得『終わりは いつも終わらないうちに終わっていく』(タデウシュ・カントール生誕100年記念祭)を初演。

 

任意団体として独立し、2016年に同作をベースにアルメニア(国際演劇祭HIGHFEST) 、ロシア公演。歌を主軸に、舞踏や、即興、日本やアジアの伝統芸能、西洋の現代音楽に精通するメンバーが、各地のフォークロアを遡って創作する『ユーラシアンオペラプロジェクト』を開始。2017年は「バイカル・黒海プロジェクト」として、ロシア、ブリヤート共和国、ウクライナ、トルコで現地のアーチストとコラボレーションを行った。

 

2018年にはその各地から4人の歌手を東京に招聘し、Op.1『Continental Isolation』として集大成。独自のポリフォニー合唱を用いた音楽劇は、〈 北東アジア版マジックリアリズム〉とも称された。

 

2019年は、「トランス・ステップロード(草原の道)プロジェクト」として、カザフスタン、タタールスタン共和国、ロシアで公演、ワークショップを行う。そのリサーチとコラボレーションをふまえ、Op.2『さんしょうだゆう』を、カザフスタン 、韓国(PAMS国際舞台芸術フェスティバル/国際交流基金ソウルセンター主催)で上演。朝鮮半島からロシア、中央アジアへ離散したディアスポラの来歴に、日韓の口承伝統芸能を重ねた。同年には、声の表現の新しい領域をひらく、つむぎね(作曲家/宮内康乃)、シルクロード能楽会(演出家、能楽師/今井尋也)を招き、フェスティバル『東方声聞録』を開催。『古譚』(原作:中島敦)を上演。 

 

「コロナ禍」期には、創作の場を海外から身近な場所へと移し。主宰の河崎が幼少より住居する埼玉県川口市、蕨市周辺の海外移住者との交流から新作を構想。

 

 2022年、なかでもトルコから移住した、法や国際関係において不自由な立場にある「在日クルド」人とともに、韓国伝統音楽「正歌」、台湾原住民の出自を持つ歌手をソリストに迎えOp.3『A Night The Sky was Full of Crazy Stars(狂ったように目覚めて)』を、埼玉で上演。 

 

2024年、国際交流基金共同制作事業として採択され、日韓台のアーチストとのコラボレーションによる、河崎純(音楽詩劇研究所)xチョン・ウォンキ(韓国)『黒潮プロジェクト台湾-与那国-済州』を主催。日本最西端の与那国島出身の俳優、映画監督の東盛あいかをメインキャンストに、Op.4『黒潮の子』を沖縄、東京で上演。ディアスポラ文化と国境を越えた海洋文化をテーマに、台湾・与那国・済州島の海流の交流や悲劇、離島の失われゆく民謡やフォークロアに着目し、これまでにない観点で、東アジア発の新たな音楽劇の可能性を提示した。

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